大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(う)2110号 判決

被告人 八木沢秋雄

〔抄 録〕

次に職権により調査するに、原判決は原判示運転免許証中不実記載部分を刑法第一九条第一項第一号、第二項を適用して没収する旨の言渡をしているのであるが、原判決の認定した事実によれば、被告人は、先に青森県公安委員会から大型自動車免許証の交付を受けたが、交通事故を起したため埼玉県公安委員会において該免許を取消され、右免許証を同公安委員会に返納させられたものであるにかかわらず、昭和三七年六月一日青森警察署において青森県公安委員会の免許証再交付の事務を担当する同署勤務の巡査中尾光春に対し、前示自動車運転免許証は同年五月二八日青森市内において遺失したので運転免許証を再交付されたい旨虚偽の申立をなし右免許証の再交付申請をし、よつて情を知らない前記中尾光春をして、青森県公安委員会作成名義の被告人に対する運転免許証の備考欄に同年六月五日遺失再交付する旨の不実の記載をなさしめたものであるというのであつて、これによれば、所論自動車運転免許証は、被告人が偽造したものではなくて、前記中尾光春がその権限に基き正当に作成したものであり、単にその内容たる不実記載の部分が被告人の虚偽の申立により事実に反しているというに過ぎないのであつて、刑法第一九条第一項各号のいずれにも該当しないものであるから、右法条によりこれを没収し得べきものでないといわなければならない。してみると、原判決が前示のように没収の言渡をしたのは刑法第一九条第一項第一号の解釈適用を誤つたものというの外なく、その誤は判決に影響を及ぼすこと明かであるというべきであるから、この点においても原判決は到底破棄を免れない。

(長谷川 白河 小林)

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